前回に引き続き、エミール・ガレの復刻品と題して、アールヌーヴォー時代を代表するガラス工芸家「エミール・ガレ」をオマージュとする作品や復刻品を手がける、ルーマニアのガラス工芸の商品のご紹介、2回目です。
エミール・ガレが特徴としていた、カメオ技法、アシッドエッチング、マルケトリなどの技法を用いながら丹念に制作されたガラス工芸です。
ガレらしい、植物や昆虫・花などをモチーフにデザインされた曲線に溢れる繊細で優美な美しさを醸し出しています。
エミール・ガレ
シャルル・マルタン・エミール・ガレ(1846年5月4日 - 1904年9月23日)は、アールヌーヴォーを代表するフランスのガラス工芸家です。また陶器や家具などのデザイン・アートディレクターも手掛け、父親から継いだガラス工芸・陶器・家具工場の「ガレ社」を経営する企業経営者でもありました。
ガラスの花瓶や壺、鉢や杯といった限られた空間の中で、大自然の風物と生命の営みをアールヌーヴォーに代表される装飾美と共に詩情豊かに謳い上げた作風が広く知られ、その作品の芸術性の高さは、その後のガラス工芸に及ぼした影響も大きく、今日も世界的に大きく評価されています。
一方で、アールヌーヴォー隆盛以前に持てはやされたジャポニズムや異国趣味、歴史主義などに則った作品も作り続け、新しもの好みの顧客も古いもの好みの顧客も両方大事にする経営者としてのバランスもとれた人物と言えます。
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カメオ技法
ガラス器の素地を2層から5層の色ガラスで作っておいて、その各層までガラス表面を削りこみ下地の色を出しながら、レリーフ文様を刻みだす技法です。削り方はグラヴュール・エッチング・サンドブラストの3通りがあります。
今回の復刻品で扱っているものは、エッチングの後、カメオ技法を施し、グラヴュールで細部を仕上げるガレの作品と同じ製法です。ガラスの表面に直接筆で絵を描いて、酸に浸すことを数十回繰り返しながら、繊細な陰影を出す。大変な手間と時間がかかるため、このガレの技術を引き継ぐ工房は貴重な存在となっています。
アシッドエッチング(酸彫り)
エッチングの一種で、酸の腐食により文様をつける技法をさします。バカラのローハンやパルメなども同じ技法が用いられています。
マルケトリ技法
1898年にエミール・ガレが特許を取得した技法。ガレが家具の寄せ木細工(マルケトリ)から着想を得て生み出したこの技法、吹きガラスで形づけられたベースを熱しながら、色ガラスのタネを巻き付けた鉄竿より直接文様が付けられ熱により埋め込まれる(象嵌される)ため、即興性が高く、大変難しい技法で制作途中での破損も多いのですが、素地と文様との融合で独特の面白さが生まれます。