真夏のヨーロッパラウンド、F1第11戦、ハンガリーGP。
東欧で唯一のグランプリだ。
そして、チャンピオンシップは佳境に差し掛かりつつある。
前戦、ヨーロッパGPで、アロンソ優勝、ハミルトン、ノーポイントでその差は2ポイントと詰まり、完全にマクラーレンの同士対決の様相。
そして、このハンガリーGPで、両ドライバーのライバル意識が、形となって表出する事となった。
予選での出来事。最後のQ3で、アロンソの燃料消化の為に、チームはハミルトンに、アロンソを先に行かせるように無線で指示。(今回のレースではアロンソに優先権があったらしい)
しかし、ハミルトンはこれを5回に渡って無視をし続けた。
そして緊張関係はピークに達する。
Q3の最後のアタック時、アロンソがピットインしている時に、不必要にピットに長く留まった。ギリギリになってアロンソはピットアウトし、後ろでピットインを待っていたハミルトンは結局、タイムオーバーでラストアタックが出来ない羽目になってしまった。
この瞬間、マクラーレンのチームボス、ロン・デニスは、ヘッドフォンを投げ捨て、アロンソ担当のエンジニアに詰め寄る。
ハミルトンの行為に対する、アロンソの故意の報復そして妨害行為。
どう見てもそう映った。
アロンソは、最後のアタックでPPを獲得するも、結局このピットでの行為が、審議対象となり、結果は、5グリッドの降格ペナルティ。また、マクラーレンチーム自体にも、このレースでのコンストラクターズポイントは与えられないと言う、厳しいペナルティが下った。
アロンソの行動が審議対象となった途端、ロン・デニスは、ハミルトンが悪い。チームのルールを破った為に起きたとハミルトンを強く非難した。
これは、逆にアロンソがその報復として故意にやったと、暗に認めるような発言となってしまった訳だが、ロン・デニスに取ってみれば、二人の卓越したドライバーがライバル意識で緊張状態にある中で、最善の釈明のストーリーだったのかも知れない。ここでアロンソが悪いと発言する事は、アロンソの性格、またチャンピオンとしての彼のプライドを考えれば、まず出来ない事だろう。またチームのコントロールが悪かったと言うのも、アロンソを満足させる弁解にはならなかったかも知れない。
事実、チームの秩序を先に乱したのは、ハミルトンだった訳だろうし、今後のチャンピオンシップの流れの中で両者の性格を考慮しても、愛弟子のハミルトンを悪者に挙げた方が得策と考えたかも知れない(また愛弟子に裏切られたと言う怒りは正直あったかも知れない)。
いずれにしても、今回の事で、アロンソの姑息さ(でもこれがなければ結局は強いドライバーになれないと言う事実もある。ドライバーはエゴの固まりじゃないと速くなれないと言うのはよく聞く話だ)がよく分かった反面、ハミルトンも今後も容赦なくライバル意識剥き出しでアロンソに挑んで行くだろう。
そして、ロン・デニスは、この二人をどうコントロールして行くのだろう。
これから、ますますこの緊張関係は強くなって行くだろう。
本当に、昔のアラン・プロストとアイルトン・セナの関係を彷彿とさせるようになって行くかも知れない。その時、過去の経験をどのように行かせるかは、ロン・デニスの手腕による事になる。
決勝レースの方は、PPに繰り上げとなったハミルトンが無難なレース運びで、終止フェラーリのライコネンに付きまとわれたが、抜けないハンガリーのサーキットの性格もあり、今季3勝目を挙げた。
もうとてもじゃないけどルーキーとは思えない、強い勝利だ。
そして、アロンソは6番手スタートで序盤自らのミスで8位に落ちるも、BMW、ウィリアムズ勢が3ストップだった幸運もあり、4位フィニッシュ。
ポイント差は7ポイント差と広がった。
次戦トルコGPまで3週間の休みとなる。この間、メディアも多いに騒ぐだろう。今回の1件が両ドライバーにまたマクラーレンに果たしてどのように影響を及ぼすか、いずれにしても3週間後に明らかになる。
F1第11戦ハンガリーGPの決勝結果は以下の通り。
1 L・ハミルトン マクラーレン 1:35:52.991
2 K・ライコネン フェラーリ + 0.715
3 N・ハイドフェルド BMW + 43.129
4 F・アロンソ マクラーレン + 44.858
5 R・クビサ BMW + 47.616
6 R・シューマッハ トヨタ + 50.669
7 N・ロズベルグ ウィリアムズ + 59.139
8 H・コヴァライネン ルノー + 1:08.104
9 M・ウェーバー レッドブル + 1:16.331
10 J・トゥルーリ トヨタ + 1 laps
11 D・クルサード レッドブル + 1 laps
12 G・フィジケラ ルノー + 1 laps
13 F・マッサ フェラーリ + 1 laps
14 A・ブルツ ウィリアムズ + 1 laps
15 佐藤 琢磨 スーパー アグリ + 1 laps
16 S・ヴェッテル トロロッソ + 1 laps
17 A・スーティル スパイカー + 2 laps
18 R・バリチェロ ホンダ + 2 laps
Did not finish
19 V・リウッツィ トロロッソ + 27 laps
20 A・デビッドソン スーパー アグリ + 29 laps
21 J・バトン ホンダ + 35 laps
22 山本 左近 スパイカー + 65 laps
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