Steve Jobs
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Appleのビジョナリー、Steve Jobsが死去して早10日経とうとしている。
多くの人がそうであるように、私も大きな喪失感を感じている。
しかし、今や時価総額で世界一の企業に大成長を遂げたApple、そして、その立役者として凄まじいカリスマとリーダーシップで引っ張ってきた Steve Jobs はもはや世界に与える影響は極めて大きく、予想以上に世界中のメディアや多くの人々が反応し、世界を揺るがした衝撃的なニュースとして大々的に取り上げられた。
1996年末に古巣のAppleにJobsが復帰した頃は、いつ倒産してもおかしくない状況で買収話がいつも持ち上がってるような状況だったApple。それだけに今のこの無双ぶりとSteve Jobsがここまでに世界に与えた・変えた影響の大きさと言うものを改めて思い知らされる。
Jobsは、2004年の7月に最初のすい臓がんの摘出手術をしている。
思えば、Jobs及びAppleの急加速が始まったのも、この頃がターニングポイントだった気がしている。
2001年に発表したiPodが爆発的なヒットとなり、iTunes Music Storeによる音楽販売も伴い大きな流行りを生み出したのがこの頃。そしてこれ以降、業績は指数関数的な成長を遂げ、2007年にiPhoneを発表し携帯市場を激変させ、2010年にはiPadを発表しタブレットPCと言う新しい市場を創出した。
有名な2005年のスタンフォード大学のスピーチでJobsはこのすい臓がん手術が臨死体験となり、死に対する考え方が変わった事を述べた。死は誰にも必ず来るものであり死を恐れてはならない。時間は限られている。ドグマ(既成概念や教養)にとらわれることなく、他人の人生を生きるのではなく、自分自身の人生を、自分の本当にやりたい事に力を尽くせと言っている。これは、学生達に向けた言葉のみならず、彼自身への改めての決意と宣言だったであろう。
実際、2004年に癌の摘出手術をした後、どの時点で癌が再発したのかは不明だ。しかし明らかになった死因が、移転性のすい臓癌による呼吸停止であり、どこかで癌が再発した訳である。2004年の術後も合併症などを抱え、ずっと体調がすぐれなかったと言う噂もある。どの時点かは分からないが、彼は自分の人生がさほど長くはない事を気付いていたであろう。
それ故に2004年以降の鬼気迫るAppleの革新ぶりはJobsの死を覚悟した執念の賜物であろうし、それを実現する為の気力・体力は半端じゃなかっただろう。この為に余計に死に急いだのかも知れない。

余談だが、最初の癌摘出手術も、実は最初に癌が見つかった9ヶ月も後の事だった。この辺りはこの記事が詳しいが、当初癌が発見されたのは2003年の10月。しかし膵臓がんでは非常に稀なケースで治療可能な癌だと判明した。しかし、Jobsは手術で腫瘍を摘出するのを拒んだ。彼は完璧な菜食主義者で禅を愛す仏教徒。西洋の医療を信用していなかったのもある。何とか食餌療法で治そうとしたらしい。しかし効果なく、やむ終えず摘出手術を受けたと言う事のようだ。ひょっとするとこの遅れが致命的になったのかも知れない。
その後、目に見えて体調に異常があるのが分かり騒ぎとなったのが2008年の6月頃のWWDC。そこには激痩せしたJobsがいた。尋常じゃない変貌振り。メディアや投資家は癌の再発かと不安を煽った。2009年1月には激痩せの原因はホルモンバランスの異常にあり、この治療の為、6ヶ月間の療養に入ると発表。そして2009年6月には宣言通りに業務に復帰した。この間、肝臓移植手術を受けた事を、Jobs自身が9月のiPod、iTunes関連の復帰イベントで報告した。しかしそれが癌が理由なのかどうかは公表されなかった。癌治療の為、最新の放射線治療を試していたと言う噂もある。
2010年は比較的公の場に姿を現していた。3月のiPadの発表、6月のWWDC、その他秋頃の個別のイベント等。
しかし、痩せた姿は相変わらず。体調は回復しているようには見えなかった。また、イベントのプレゼンも今までのように一人で仕切るのではなく、それぞれの担当上級副社長などに部分的にプレゼンを任せるなど、組織・集団作りを進めてる節もあった。
そして、2011年の1月、更なる病状悪化で期限無しの休職を再度宣言。
この辺りでは、一部の報道では末期癌で余命6週間なんて記事もあった。しかし、その後もオバマ大統領が主催したIT企業のトップを集めた会食に出席する姿を見せ、3月にはiPad2の発表イベントに登場しプレゼンを行い、6月のWWDCにも登場、執念のプレゼンを見せた。この時は更に痩せ声もかすれ、体調が芳しくない事を思わせた。
8月24日に遂にCEOを退任。ティム・クックに後任を譲った。
2008年以降は、常に癌再発による健康不安説がはびこっており、死期も近いのではと噂されたが、2011年も大きなイベントではプレゼンを行いその度に不安を払拭してたとこもあるはあったので、またそもそも原因が癌かどうかも定かではなかったので、CEOを退任した時もゆっくり休んで早く元気になって欲しいと内心は楽天的に考えていたのだが(そしてそういう思いの人が多かったと思うが)、実際には末期癌であり、予想以上に病状が悪く、死期も極めて近かったと言う事だった。それだけに衝撃でショックだった。
しかし、事実はどうであれ、自分の理想をあくまでも追い求め、それを実現し、世界を・人々のライフスタイルを変えた男。あまりにも短い人生を太く疾走したその姿は多くの人々の感動を呼び、記憶の中に残り、今後幾世代にも渡り語り継がれていくだろう。
今世界中に大きな喪失感を感じてる人々は数多くいると思うし、やはり世界が退屈になりそうな寂しさはあるが、逆に自分の理想を生き、自分の愛している事に命を捧げた人生は羨ましくもあり、極めて幸福な人生だったと思う。そう言う意味では自分自身に照らし合わせた時に胸が痛くなる思いがする(そう言う人も多いだろうと思うけど)。
偉大なる天才の早過ぎる逝去に改めて敬意を表したい。
R.I.P. (Rest In Peace) ,Steve
心よりご冥福をお祈りします。
そして今後のAppleがどのようになっていくのか、Appleらしさをどのように維持していくのか、一人の哲学と美学が生み出した妥協のない「作品」をどのように引き継いでいくのか極めて困難な課題にAppleは取り組まなければならない。

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